ミッシングリンク

繋がらないワタシ

『コールミー・バイ・ノーネーム』、証明というバズーカ

 

 斜線堂有紀の百合長編

『コールミー・バイ・ノーネーム』読みましたので感想を認めます。

 

【あらすじ】

良次愛は、深夜のゴミ捨て場に捨てられていた美しく奔放で掴みどころのない女、古橋琴葉と出会う。たちまち琴葉の魅力に囚われる愛だったが、友達になることは固く拒まれてしまう。そんな琴葉が持ちかけてきたのは、友達ではなくて“恋人”になること―そして、自分が改名して“琴葉”になる前の“本当の名前”を当てられたら、愛の望み通り友達になる―という奇妙な賭け。仮初めの“恋人”としてぎこちなくも関係を深めていく二人だったが、琴葉の“本当の名前”に秘められた凄絶な過去は、そんな幸福な時間が続くことを許さなかった―。俊英・斜線堂有紀が放つ待望の百合長篇第一作にして、切なさが炸裂する“名前当て”ミステリーの金字塔! (『コールミー・バイ・ノーネーム』)

【感想】

 えっちな百合小説を読みたくなったので読みました。

なんだけど、この作品を読むうえでこの動機というのが一番…………。

いや、大学生百合だし当然にあるだろうとの推測は確かだったが。

 

百合でこういう「同性の母親による性的虐待」テーマは痛いところをつかれたという気持ちになる、〈おねロリ〉という百合のジャンルが、それが百合として良いものであるというのとは別に、暴力であるという了解がファンの内で暗黙にあるような気が私の観測範囲ではしている*1が、その部分を〈おねロリ〉ジャンル外で表現された作品だと感じた。

 

著者自身があとがきで書いていることですが、本作は「愛」の話でラブコメであるのですが、あとラストの部分で完全にこの虐待を超克できていなくて、章題も《証明継続》になっているのですが、ここで二人は互いを確実に好きと分かっていて「友達」としているのが本当によくて、不安定な関係における「恋人」との対比と名前に呪われる宿命に感じている琴葉が「友達」の名前の元にキスを求めるところが水族館での回答として美しすぎた。

 

【あとがき】

・名前当て部分における愛の探偵感がマシマシでミステリ!!答え合わせ!最高!と思った(棚に積んだままになっている「楽園とは探偵の不在なり」を横目で見つつ)

 

・『砂糖菓子の弾丸~』以降砂糖菓子が良すぎてろくに本を読めていなかったのですが、ようやく読み切った小説がまた虐待モノとはどういう因果か……

 

星海社百合は「夢の国~」「コールミー~」と来ているので、次は満を持して「エス

レーション」を読みたいですね!!(積読

 

・呪いを解く解呪とSFマガジンに載せられていらっしゃる百合短編『回樹』が同じ読みなのわざとか???

 

*1:私がおねロリをあまり見ていなく、その界隈にいないのでただの感想です